No.57 (明の文化)  : 

「明代の儒学の革新とは何か?」

明代に官学とされた朱子学が大義名分論を重視して「性即理」を主張したの
に対し,明代の士大夫である王陽明が,知行合一と「心即理」を主張した陽
明学を興した。これは朱子学を興した朱熹と同時代の,南宋の儒学者だった
陸九淵の思想を源流とする。また明末には,急進的陽明学者である李贄(李
卓吾)が童心論を唱えて活躍した。


<評価の観点>
関心・意欲・態度:
吉田松陰や高杉晋作に代表される,日本の幕末・維新の志士の多くが,明代に成立
した新しい儒学である陽明学に大きな影響を受けていたことを知り,意欲的に学習
に臨んでいる。


思考・判断:
陽明学が南宋の陸九淵に端を発し,明代の王陽明によって大成されたことやその内
容について,南宋の朱熹が大成し,明代に官学化されたライバルの朱子学と比較し
ながら考察している。


資料活用の技能・表現:
吉田松陰が獄中から高杉晋作に書いた手紙の中に,明代末期に活躍した急進的陽明
学者の李贄やその著作が,「李氏焚書の功多し」として登場する箇所を読むことに
よって,松陰が強く惹きつけられた,知行合一の徹底や童心論の内容について理解
を深めている。


知識・理解:
朱子学との比較を通じて,陽明学の内容やその成立事情について,基本的な知識を
身につけている。